8区
夜の8区。
そこにはどうにもならないほどのゴミが川をお祝いするかのように周りにばらまかれていた。
綺麗な夕焼けとともに、私の彼女はそのゴミを踏みつぶしながら、煙草をふかしていた。
「ねぇねぇ、私、海外に行く」
ふと彼女はそう言って、笑った。
煙草の吸殻がゴミの下に落ち、少しずつ火が広がった。
少しずつ燃えてゆくゴミを見て、私は何も言わなかった。
彼女はいろんな歌でもよく言われている、「自称(自傷)煙草の煙のような女」だったから。
彼女は次の日にはこの国にいなかった。
彼女が最後に送ってきたテキストが「君はうるさかったよ」だった。
訳も分からない私は、「大丈夫だよ。君の私は一生叫び続けて、君を迎えに行くからね。」と返すことにした。
彼女は既読。
しばらくしてから、私は彼女をついに見つけ出すことができた。
しかし、彼女はもうすでに別の誰かの ――――――奴隷になっていた。
私は誰の所有物でもなくなってしまったから、チョコレートとビールを買って、街を歩くことしかできなかった。